法律相談で「自分の浮気がばれたのですが、別居中なので、妻(夫)は何もできないですよね」ということをおっしゃる方がいますが、これは大きな間違いです。
確かに、夫婦間の別居が長期間続いており、その別居状態により「夫婦関係が破たんしている」という状態になった場合、その後配偶者以外と交際をして、最終的に離婚となったとしても、離婚という結果は長期間の別居を原因とするものであり、交際を原因とするものではないので、交際について慰謝請求は認められないことになります(因果関係が認められないということです)。
配偶者が、他方配偶者の交際相手に対し慰謝料請求をした場合も同様です。
通常、このような慰謝料請求は、不貞行為により離婚になったことを理由としますが、不貞行為の当時に、長期間の別居等により夫婦関係が破たんしていた場合には、慰謝料請求は認められません。
離婚の原因は不貞行為を原因とするものとはいえないからです。
つまり、ポイントなのは、「別居中の浮気か」ではなく、「夫婦関係(婚姻関係)破たん後の浮気か」どうかという点です。
日本の裁判例では、夫婦関係が破たんしていると認められるためには、婚姻期間等にもよりますが、例えば5年以上の別居等状態等(期間よりも、別居期間と同居期間の比較の方が重要です)、かなりの期間が必要なのが実情ですので、単に「別居中であれば問題ない」と考えることは間違いということになります。
特に、不貞行為等、離婚原因をつくった配偶者からの離婚請求は原則として認められませんので、別居期間が短期であるにも拘わらず不貞行為をすると、有責配偶者といって、離婚請求そのものができなくなる可能性があります。
有責配偶者からの離婚請求は、ざっくりいうと①長期間の別居、②未成熟子がいない(親の監護なしで生活を保持できる程度に成長していること)、③他方配偶者が離婚により精神的・経済的に極めて過酷な状況におかれないこと、等の要素が満たされないと認められません。
逆に、「別居中の浮気だから慰謝料が請求できない」と考えてあきらめてしまうのも間違いということになります。